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2019年3月31日日曜日

『ペンギン・ハイウェイ』スタジオコロリドの魅力が詰まった会心作!!スタジオコロリド演出のポイントとは??

event_note3月 31, 2019 editBy kphoto0823


(C)2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会


■一言
全体的に面白いんだけど、もう少し予算があったらなぁ。。

■好き度
★★★


■概要
森見登美彦の小説『ペンギンハイウェイ』のアニメーション映画化作品。
何事も論理的に考え行動するが、近所のおっぱいのおおきな歯科院のお姉さんに夢中な小学生が主人公が街に現れたペンギンを研究するうちに不思議な現象に巻き込まれる話。

■感想
ペンギンハイウェイでもまじめにおっぱいのことを考える小学生が賢そうなのだけど、どこか間抜けに見えるのが楽しい作品でしたが、今回のアニメーションでは少年が端正な顔立ちで少しカッコよすぎる癖のないビジュアルで味気ない感じがしてしまいました。

お姉さんの声がどうも見た目の年齢より上のような気がすると思ったら、声優が"蒼井優"さんとのこと。これを知ってから改めて声を聴くと、多少違和感が無くなった気がします。ほかにも西島秀俊、竹中直人とビッグネームの俳優陣が声優を務めたということで、まだ、知名度の低いアニメ制作会社の"スタジオコロリド"のプロモーション活動に一役買っていると思われますが、本職の声優さんであれば、もっと疾走感出たのではないか!という気もします。

後半のペンギンが街中を大移動するシーンではスタジオコロリドの演出力が存分に発揮されるのですが、画面の書き込みが少し弱くもう少し予算があれば大迫力の見せ場になったんじゃないかと、次回作に期待したいところです!

原作からの改変はほぼ無く作品のテーマも少年期から大人への成長。論理的な思考が可能で、言葉では大人という感覚が分かっているつもりの少年がひと夏の出会いを通して少し成長するという話。サマームービーとして楽しい作品になっていると思います!

主題歌は宇多田ヒカルのGood Night」やっぱり抜群の歌唱力。エンドロール最後まで残る余韻が良いです。


個人的には最初に『ペンギン・ハイウェイ』を読んだときに細田守監督が映像化すればよいのに、、なんて思っていましたが、『未来のミライ』を鑑賞後は原作ありきの作品よりのような家族への個人的な思いを大作に仕上げることに方向を切り替えた細田監督は興味ないんだろうなぁなんて感じました。





■原作は森見登美彦
森見登美彦の代表作『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話体系』では、一見すると論理的であるように見えて実はただのボンクラ大学生が主人公の言い訳や思考が軽妙かつ情緒的な文体で読みやすい印象でした。過去作を含め今回の『ペンギン・ハイウェイ』でも日常にあるものが日常にないものと融合した作品に対して使われるマジックリアリズムという手法で語られており、ぐるぐると頭の中を刺激される感覚が非常に心地よかったです。『夜は短し歩けよ乙女』、『四畳半神話体系』はアニメーション作品も面白かった。こちらは『マインド・ゲーム』、『DEVILMAN crybaby』などの湯浅政明監督。



■監督は石田祐康
2009年に文化庁メディア芸術祭アニメーション部門を受賞した『フミコの告白』で見せた疾走シーンは『ペンギンハイウェイ』での風の演出や、後半のペンギンが町中を大移動するシーンで存分に活かされていました。『ペンギンハイウェイ』のオープニングの天井からのカメラワークは『FASTENING DAYS』のカメラワークそのもの。こうしてみるとコロリド世界観が明確なり作品をより楽しめるとおもいます。
スタジオコロリドはweb、TVCMも多数手がけており下記リンク先から見ることができます。

スタジオコロリド:作品紹介
https://colorido.co.jp/works/



公開日:2018年8月17日(金)
製作国:日本
配給:東宝映像事業部
上映時間:119分

■スタッフ
監督:石田祐康
原作:森見登美彦
脚本:上田誠
キャラクターデザイン:新井陽次郎
演出:新井陽次郎
制作:スタジオコロリド

■キャスト(声の出演)
北香那:アオヤマ君
蒼井優:お姉さん
釘宮理恵:ウチダ君
潘めぐみ:ハマモトさん
福井美樹:スズキ君

主題歌: 宇多田ヒカル「Good Night」

■受賞
カナダ・モントリオールの第22回ファンタジア国際映画祭にて
最優秀アニメーション賞にあたる今敏賞(長編部門)