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2019年12月25日水曜日

暗いイメージはディズニーの文化搾取の贖罪『アナと雪の女王2』

event_note12月 25, 2019 editBy kphoto0823
『アナと雪の女王2』
ネタバレ多少含みます。



ディズニー偉い!!!


そんな映画でした。

エルザがなぜ魔法を使えるのか?

両親が隠してた秘密は何なのか?

という話ですが、
本質的にはアメリカの過去の過ちと今やるべきことを描いた話。

このアメリカの話を女性の価値観を牽引してきたディズニープリセンスシリーズでやるというディズニーの覚悟がすげー。。と思うのです。

舞台は秋となっていますが、雪がテーマの"アナ雪"の世界の一つ前の季節、つまり前世代の象徴。

自然を愛する国外の村の人々はネイティブアメリカン。

信頼構築を装い侵略するのはイラク戦争。

村の為と築いたダムは国を隔てるメキシコの壁。

過ちを犯した先祖はいなくなり、過去を清算する子供世代は今のアメリカの子供たち。

そんな子供たちに届けるべきメッセージは、"すべては変わってしまったかもしれないけど、愛が必要なことは変わらない。Do the next right thing!(今できる正しいことをしよう!)"

羊の皮を被った狼的なメッセージが濃厚な映画です。

で、親なき子世代として国を背負う覚悟をしたアナとエルザだからこそできた話で、やはり2で語るべき話だったなぁと思うのです。

この見方には1つ飛ばしているところがあって、魔法共に生きた民はサーミ人と呼ばれるスカンジナビア半島の民族がモデルなんだそうです。

で、アナ雪2の王国が進行して支配という流れが、実はディズニーにおけるヨーロッパの文化を土台としたプリンセスシリーズの構築からの著作権の主張。これはつまり、文化搾取なわけで、今回のアナ雪2でその文化搾取に対する反省となっているわけです。

本作に関してサーミ人を尊重して表現すること約束する契約までされているようです。
そんなサーミ人を描いた『サーミの血』鑑賞済みだったのになぁ。。全然頭になかったです。。

で、この文化搾取こそアメリカの現状なんじゃないかというのは、自分の拡大解釈かも知れませんが本作のテーマにあえて選んだことは無関係ではないでしょう。

創始者のウォルト・ディズニー、第二次黄金期を築いたジェフリー・カッツェンバーグ、ピクサー合併と新しい女性の価値観したジョン・ラセター。

そして、政治的なメッセージまで踏み込んだ現在のディズニーを率いるジェニファー・リー。ディズニー第4世代かなり政治的にも文化的にも攻めてて今後も楽しみです。

これを実写でやれば、あまたの戦争映画やドキュメンタリーと同じで重く暗い映画になるところを、子供にも伝わるように美しく、楽しく、希望を持てるように描いたことがすごい。

劇中でオラフが子供と戯れながら、

「子供と戯れるのはいい!未来は良くなる!」(うる覚え)

という言うように、未来へのメッセージを伝えるという覚悟がないとできない作品だと感じました。

映像も音楽も素晴らしい!特にアナの表情と水の表現がまた一段とクオリティーが上がっている。枯葉3枚でそこにキャラクターがいるように思わせるのもディズニーのお家芸。。素晴らしい。

壁なんか作ってる場合じゃないというディズニーの意思が伝わる良作でした。

©Disney